「すずめの戸締まり」 話を続けることについて

「すずめの戸締まり」(2022)監督:新海誠 以下、「すずめの戸締まり」だけでなく、「君の名は。」「天気の子」のネタバレも含みますので、ご注意ください。

「コーダ あいのうた」 わかりあえないことから

「コーダ あいのうた」(2021)監督:シアン・ヘダー

「ドライブ・マイ・カー」をめぐる断片

「ドライブ・マイ・カー」(2021)監督:濱口竜介

「あのこは貴族」 東京を生きる、幸運を祈る

「あのこは貴族」(2021)監督:岨手由貴子 Twitterで、岸政彦先生が「この映画気になる」と言っていて、先生が邦画の話するのは珍しいなと思っていたら、そこに原作者の山内マリコさんが「100分de名著のディスタンクシオンの回観てました!」と反応していて、…

「はちどり」 傷跡が意味すること

「はちどり」(2018)監督:キム・ボラ 少女が玄関を何度もノックしている。ノックの音は次第に強くなり、少女は「お母さん、わたし」と悲痛な声をあげるが、扉はまったく開く気配を見せない。彼女は目線を泳がせる。そのときドアのナンバーが目に入る。彼女は…

「きみはいい子」 やさしさとしぶとさ

「きみはいい子」(2015)監督:呉美保 夫が単身赴任をしており、ひとりで娘のあやねを育てている雅子(尾野真千子)には秘密がある。あやねが少しでも悪いことをすると、つい手をあげてしまうのだ。雅子は幼少期に親から虐待を受けており、おそらくそのことが…

「ジョジョ・ラビット」 ファッションと信念

「ジョジョ・ラビット」(2019)監督:タイカ・ワイティティ 東京には花粉が飛び始めましたが、明けましておめでとうございます。たぶんこれが今年最後の「明けましておめでとうございます」ですが、次の「明けましておめでとうございます」もあっというまなん…

「アイネクライネナハトムジーク」 ぼんやりを解体する

「アイネクライネナハトムジーク」(2019)監督:今泉力哉「愛がなんだ」は、超高性能な顕微鏡でテルコという異分子を発見し、彼女の一挙手一投足をつぶさに観察するような作品だったと思う。その解像度に目が慣れていると、「アイネクライネナハトムジーク」…

「博士と彼女のセオリー」 ブラックホールの中心

「博士と彼女のセオリー」(2014)監督:ジェームズ・マーシュ ALSに侵されながらも物理学のフロンティアを切り開いたスティーヴン・ホーキング博士(エディ・レッドメイン)と、彼を支えたジェーン(フェリシティ・ジョーンズ)という女性の物語です。『博士と彼…

「バーニング 劇場版」についての考察

「バーニング 劇場版」(2018)監督:イ・チャンドン 各賞での「万引き家族」とのデッドヒートでも話題になりましたが、村上春樹の短編「納屋を焼く」を原作にした「バーニング 劇場版」(以下「バーニング」)がとても面白かったので、考察を書き残しておきたい…

「ブリグズビー・ベア」とInvisibleな共同体

「ブリグズビー・ベア」(2017)監督:デイヴ・マッケイ 幼いころに誘拐され、25歳になるまで隠れ家で育ったジェームズ(カイル・ムーニー)が、毎日楽しみにしていたのが「ブリグズビー・ベア」というアニメだった。「ブリグズビー・ベア」は彼にとって育ての…

「マンチェスター・バイ・ザ・シー」 海と和解する

「マンチェスター・バイ・ザ・シー」(2016)監督:ケネス・ロナーガン 日々の暮らしに疲れたとき、海へ行きたくなることがある。海は世界が広いということを端的に示していて、いまの場所に無理にとどまる必要はないということを教えてくれる。そんな風に感じ…