「ブリグズビー・ベア」とInvisibleな共同体

ブリグズビー・ベア(2017)
監督:デイヴ・マッケイ


幼いころに誘拐され、25歳になるまで隠れ家で育ったジェームズ(カイル・ムーニー)が、毎日楽しみにしていたのが「ブリグズビー・ベア」というアニメだった。
ブリグズビー・ベア」は彼にとって育ての親にあたる誘拐犯のテッド(マーク・ハミル)が独自に制作した作品である。
外の世界に出たジェームズは依然として「ブリグズビー・ベア」に魅力を感じており、その続編を作りたいと考えはじめる。
当然周囲の人々は反対するが、彼のひたむきな情熱は、次第に人々の態度を変えていく。

 

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「マンチェスター・バイ・ザ・シー」 海と和解する

 「マンチェスター・バイ・ザ・シー」(2016)
監督:ケネス・ロナーガン

 

日々の暮らしに疲れたとき、海へ行きたくなることがある。
海は世界が広いということを端的に示していて、いまの場所に無理にとどまる必要はないということを教えてくれる。

そんな風に感じる人はたくさんいると思うのだけれど、反対に、海がこちらを眺めていると想像したことがある人はいるだろうか。
海から見れば、窮屈な地上でもがいている人間は哀れに見えるかもしれない。

マンチェスター・バイ・ザ・シー』は、そんな空想をいざなう作品だ。
海が見つめているのだ。

 

 

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